看護師が退職するときの最低限のマナーと退職願(届)の書き方
終身雇用の保障がない現代社会において、退職・転職される方は多くいらっしゃることでしょう。退職・転職の理由は様々だと思いますが、退職する際には職場とご自身の双方が気持ちよく退職したいものです。ここでは、退職時のマナーと辞表・退職願(届)の書き方について紹介します。
(1)退職意志を伝えるタイミング
(2)退職意志の伝え方
(3)退職理由
(4)退職時期について
(5)返却・受取について確認する
(6)引き止められる場合もある
2.辞表・退職願(届)の書き方
(1)辞表・退職願(届)を書く前に
(2)形式・内容について
(3)提出の際の封筒
3.退職時のマナー:退職決定後
(1)職場の方たちへの報告・挨拶
(2)退職後の連絡先について
1.退職時のマナー:退職決定前
(1)退職意志を伝えるタイミング
例えばご自身が職場の上長として勤務なさっていた場合、どれくらい前に退職を願い出てもらえれば、次の人員の確保ができ、かつ引継ぎもスムーズに行えるでしょうか。法律では退職希望日の「2週間前までに願い出ると良い」とされていますが、実際はその職場によって状況は異なってきます。一般的なタイミングとしては、2~3ヵ月前を目安とされています。
(2)退職意志の伝え方
テレビドラマでは突然退職願を提出し、その場で辞めるという演出をよく見かけますよね。ご存知の方も多いと思いますが、これは実際にはあってはならないマナー違反です。退職の意志を表明したからといって、そのまま退職できる訳ではありません。
では、どのようにして伝えると良いのか。退職意志の伝え方として、ベターな方法を書いていきますね。
まずは直属の上長に「相談したいことがあります」と切り出しましょう。出来れば大勢の前ではなく、2人で静かに話せる空間で話が出来ると良いでしょう。退職の意志を上長に伝え、そしてその後上長がそのまた上長に報告・確認を行います。この時、上長に意志を伝えたからといって、退職が決まったわけではありませんので、注意しましょう。その後、直属の上長から退職了承の旨、あなたに連絡があった時点で初めて退職が決まります。
また、退職意志を上長に話す前にその他の人に口外することはオススメしません。例えば、直属の上長がご本人から退職の意志を聞く前に他の人から先に聞いてしまった場合、退職の話がスムーズに進まない場合もあります。慎重に進めるようにしましょう。
(3)退職理由
退職理由をどう伝えようか、ここが一番悩むポイントでいらっしゃるのではないでしょうか。私が上長であれば、正直におっしゃって頂いた方が、気持ちよく送りだすことができます。ご本人もウソをついてしまうと、後味が悪くなってしまうのではないでしょうか。退職理由としては、ご自身のキャリアアップ、生活環境の変化、職場環境が合わない、など様々かと思います。
できるだけウソがなく、気持ちよく送り出してもらえるように伝えることをオススメします。職場環境が理由の場合には、職場の悪口にならないよう、注意しましょう。
(4)退職時期について
退職時期については、職場との相談の上で決定されることがほとんどです。一般的には、引継ぎの日数と有給休暇がある場合にはその日を逆算して退職を決めます。 ご自身の転職時期やその他ご事情もおありになるかと思いますので、しっかりと相談して退職時期を決めていきましょう。
(5)返却・受取について確認する
退職の際に貸与物などがあれば返却をしなければなりません。その他一般的に返却する可能性があるものを以下に5つ書きます。
- 健康保険被保険者証(ご家族の分もあればご家族分も全て)
- 制服、ユニフォーム
- 名札
- ロッカーキー(その他鍵類)
- その他、資料や書籍など
また、退職の際には返却だけではなく受取るものもあります。一般的に受け取る可能性があるものを以下に5つ書きます。
- 雇用保険被保険者離職票
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- その他、名刺や備品
退職の際には各種手続きも必要になりますので、しっかりと確認して進めるようにしましょう。
(6)引き止められる場合もある
あなたが退職を願い出た時に退職を引き止められることもある、ということも認識おきましょう。職場によっては、環境改善や配置転換、給与や待遇などの見直しを条件として引き止められることもあるかと思います。ですが、この条件には保障がありません。それらを聞いてみて、ご自身がどちらの道を歩むことが幸せなのか、よく考え返答するようにしましょう。
2.辞表・退職願(届)の書き方
(1)辞表・退職願(届)を書く前に
直属の上司に退職の意志を伝え、了承された後に退職願(届)を提出しますが、「退職願」と「退職届」のどちらを提出しなければならないのでしょうか。同じようにみえますが、ニュアンスが異なっていますので、両者の違いをしっかりと理解しておきましょう。
まず、「退職届」ですが、こちらは「もう辞めることにしました。意志は変わりません」といった少し強めのニュアンスを持ち、提出した時点で有効となります。
これに対して「退職願」の方は、あくまでも「おうかがいをたてる」もので、「受理」された時点で有効となります。一般的な手順を踏む場合は、「退職願」を提出します。
(2)形式・内容について
辞表・退職願(届)の形式・内容はある程度一般化されていますが、職場によっては定められた形式もありますので、確認して書くようにしましょう。以下に例を記載します。

① 一行目の中程に『退職願』と書きます。
② 二行後の一番下に『私事、』または『私儀、』と記します。
③ 再び改行し、次の行から「一身上の都合により・・」と書き始めます。
(自己都合の場合は、「一身上の都合により」でOK)
④ 確定した退職日を記入。
⑤ 提出日、氏名を記し、捺印。できれば所属先も記入しましょう。
(捺印する際には、シャチハタではなく朱肉を使用する「印鑑」を用いるようにしましょう。)
⑥ 提出する人は上司であっても、退職願に記載する場合には勤務先の最高責任者を記しましょう。
(3)提出の際の封筒
提出する際には白地の封筒を使用します。表の中央に「退職願」、裏に「部署名」、「氏名」を記入し直属の上司に提出するようにしましょう。
3.退職時のマナー:退職決定後
(1)職場の方たちへの報告・挨拶
職場の方たちへの退職報告は退職願が受理されてからにしましょう。受理されるまでは、未確定となりますので、注意してください。
(2)退職後の連絡先について
業務上、後任者がどうしてもわからないことが出てきた場合については、退職後とはいえ対応せざるを得ないことがでてきます。この場合に備えて、後任者や関係者に連絡先を伝えておくと良いでしょう。もしくは、連絡先を伝えたくない、という人は人事担当者にのみ伝え、何かあった場合には人事担当者を通して連絡を下さい、と伝えておくと良いでしょう。 また、後任の方たちから連絡がこなくて済むようにしっかりと引継ぎを行うことも重要です。
さて、ここまで退職時のマナーと辞表・退職願(届)の書き方について書いてきましたがいかがでしょうか。気持ちよく次のステップに進めるよう、慎重に進めていきましょうね。